諸君、私はSFが好きだ

諸君 私は戦争が好きだ
諸君 私は戦争が好きだ
諸君 私は戦争が大好きだ

――平野耕太『ヘルシング』4巻

引用をもじった表題の通りである。
私はSFが好きだ。このことを明確に意識したり言葉にしたりできるようになったのは、つい最近のことである。

思えば、印象に残っている映画はだいたいがSFだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『ターミネーター2』、『マトリックス』、『攻殻機動隊』、『インターステラ-』、『シン・ゴジラ』などなど……。列挙していくときりがないが、自分の心に残った作品を思い返すと、SF映画の名前がまず挙がる。

もちろん、SF小説も好きだ。学校の図書館に所蔵されていた星新一の『ショートショート1001』という電話帳くらい分厚い単行本3冊を読み切ったのは、高校1年生の頃だったと思う。図書館から何度も借りて、家や学校でむさぼるように読み続けた。あとから思い返すと、短い中に凝縮された物語には普遍的な面白さがあった。それからしばらくして、筒井康隆の作品と出会った。衝撃だった。『時をかける少女』と『パプリカ』の上映時期だったはずなので、2006年だと思う。同名の原作2冊を読み、他の作品にも手を出したところ、毒をユーモアで包む絶妙なバランス感覚と緻密で論理的なストーリー展開に心を掴まれた。そして、最近になってやっと小松左京も読み始めた。このように、彼ら日本SFのビッグ3もまだ全制覇していないし、海外のSF小説にも最近の日本のSF小説にも疎いのだが、だからといって、SF小説が好きである事実は否定できないし、したくもない。好きであることと百科全書的な知識があるということは同値ではないはずだ。このあたり自分はけっこう屈折している。「SF好きだけれど、少ししか読んでいない」という面倒くさい劣等感というか、「SF好きなら、日本・海外問わず古典作品から最新の話題作まで読んでいるべきだ」という邪魔くさい義務感というか、そういう自分を縛るような気持ちを抱いていたのだ。

だが、最近やっとSF好きを公言しても許されると思うようになった。

いや、本当は許す許さないの問題ではないのだ。ただ、私はSFが好きなだけなのだ。それに気づいた瞬間、今までぶち当たっていた壁を壊す方法が分かった気がした。最近ずっと自分の書くものがどうしてもつまらなく思えて、スランプだという自覚があったのだ。もちろん、スランプの前にバリバリ書けていたわけではないが、相対的に書けなくなっていた。だが、やっと分かった。私は自分が好きなものが書きたいのだ。つまり、論理的には次の結論が導かれることになる。

1:私はSFが好きだ。
2:私は好きなものが書きたい。
3:故に私はSFが書きたい。

SFは今売れないらしい。売れなければ作家としてやっていくのは厳しいらしい。つまり、SFを書いて作家としてやっていくのは厳しいらしい。元々SFに限らず小説を読むのが好きで、長じて小説を書くのも好きになってしまった私は、「作家になりたいなぁ」とふと思ってしまった。作家になるには新人賞を取る必要がある。そのあとは売れる必要がある。つまり、SFを書いていては作家として生きていける可能性が減る、と私は思った。ほんの気の迷いだったかもしれないが、そのせいでずいぶんと遠回りをした。SF以外を書いて新人賞に何回か応募して、一次選考落ちを経て思ったのは、「何事も好きじゃないと続かない」ということだ。自分を殺してSFを封印して、それでよしんば新人賞が取れたとして、その後、私は作家として生き続けられるのだろうか? 答えは明らかである。ならば、どちらかしか生かせないのだとしたら……自分を殺して作家として生きるより、作家として死ぬとしても自分を生かそう。今ならそう言える。

SFが好きだからといって、SFに詳しい必要はない。小説を書くのが好きだからといって、小説がうまい必要も、作家になる必要もない。それだけのことだ。もう迷わない。SF小説が書きたいなら、書けばいいだけだ。私は自分の好きなこと、そして、誰かに伝えたいことを書くために、これから小説を書き続けるだろう。

……よろしい、ならばSFだ。

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つれづれなるままに

 つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、心にうつりゆく由なしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。――『徒然草』序段

ここ最近、上に引用した『徒然草』の序段のような状態でTwitterに向かっていたので、自分でも「良くないな」と感じていた。ちょっと弾けすぎだ。5つも6つもTweetを使ってひとつの内容を書いていたので、明らかに呟きすぎだった。友人に相談したところ、「ブログをやったらいいんじゃない?」と言われたので、1年前に作成してほとんど使っていなかったこのブログを再始動させることにした。ブログのタイトルは「なになぜ堂」である。たぶん、本を読んで思ったことや、勉強して面白かったことを書いていくことになると思う。副題に「なに(What)、なぜ(Why)、どう(How)」とあるが、あまり大上段に構えず、ゆるりと行くつもりだ。